爪先が尖った革靴を買った日記

私は今まで常に先っちょの丸い革靴ばかり選んで仕事で履いてきたのだが、最近になってどうも不恰好に思えてきていた。

巷のデキるビジネスマンがどんな靴を履いているかが気になり、あさの通勤電車ですれ違うメンズを観察してみた結果、大きく分けて2種類の人がいることがわかった。

先の丸くてボロい革靴を履いているいかにもトロくて仕事の出来なさそうなおっさんと、先の尖ってスタイリッシュな靴を履いて颯爽と歩くイケメンビジネスマンの2種類である。

履いている靴に仕事の能力が表れている。本当の能力は分からないものの、つま先の尖ったカッコいい靴を履いている人は少なくとも軽んじられない雰囲気を感じる。

一方、自分の丸い靴を見ると前者である。

こんな靴を履いていると初見で仕事が出来ないと思われるのではないか?他部署と面倒な調整をするときに、いちいち相手に舐められるのは知らず知らずのうちにこの靴が相手の目に入り。なんとなく不安な印象を与えてるのかもしれない。

これは死活問題だ。

良い靴に買い換える必要がある。そこで革靴の手頃なブランドを調べてみた。するとリーガルとスコッチグレインというのがメジャーであるらしい。どちらもアウトレットが安いらしいが、遠い所は面倒なので、一番家から近い渋谷のマークシティにあるリーガルに行くことにした。

色々試着してみたが、高いだけあってよく出来ているのだろう、非常に履き心地が良い。靴底も良い素材らしく、歩くとコツコツと音が響く。今までの靴はこれに比べたらサンダルみたいなものだ。

足が短いのに靴が尖り過ぎていると見た目がアンバランスになりやすい。そして私はあまりスタイリッシュな体型ではない。

私はその事実を重く考慮し、なるべく尖っていないものを選ぶことにした。
仕事場で悪目立ちしないことも重要である。オーソドックスな黒が良い。

最初に試着した黒いストレートチップの革靴はそれらの条件を満たしていたので、これを購入した。

明日からはこれを履いてできるビジネスマンになれる。もう舐められない。今までみたいに「ちゃん」付けではなく「さん」付けで呼ばせてみせる。などと思いつつ。

そして翌日朝、デキる男になるため、新しい革靴を玄関で履いてみた。そしたら何故だろう?異常に爪先が尖ってみえる。。

スーツが細身のせいもあるのだろう。まるでピエロ靴を履いた間抜けみたいではないか。

こんなの履いて会社に行ったら?デキる男と思われるどころか、靴の選び方も知らない世間知らずの馬鹿と思われるのがオチだ。

しかし、折角買ったのに?などと五分くらい玄関の前をうろつきつつ悩んだ。仕方ないので、その日は古い先の丸い靴を履いていった。

次からはスーツを来て革靴を試着しなければならないと心に決めた。